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頂き物のお礼、お世話になった時など、お礼状を書く機会は意外と多いものです。
パソコン印刷でもいいのですが、筆ペンでお名前直筆サインを加えるだけでも手書きの要素が加わったお礼状が届くと、「お!」と目をひきます。
その筆ペンでの直筆サインをさらに引き立たせるのが、落款。
今回は、「落款ってなに?」という方へ、落款の意味と、使用方法をご紹介します。
一般社団法人伝筆協会の侑季蒼葉です。
落款の意味を知って、楽しく使おう
書道展などで掛け軸をみていると、赤いハンコみたいなものが押してあるのに気づいたことありますか?
「あの印は、どういう意味なんだろう?」「何が書いてあるのだろう?」と思われた方も多いと思います。
あの印を落款(らっかん)と呼びます。
私は、筆ペンで手書きハガキを書くときは、文字の左下に、赤ペンで、自分の名前の一文字を「四角」で囲んで手書きで書いてます。
出版本のサインの際は、香港のペニンシュランホテルで購入した、ローズクオーツの石で彫ってもらった「蒼葉」落款(らっかん)を使用しました。
お気に入りです^^
筆ペン手書きも、落款も、楽しい気持ちで取り組むことを大事にしていますが、「どんな時に、どんな落款をどこへ捺印したらいいのか」などは気になると思います。
楽しく使用するために、落款についてご紹介しますね。^^
落款(らっかん)とは
Wikipediaを調べると、以下のように記されています。
落款(らっかん)は、落成款識(らくせいかんし)の略語。
書画を作成した際に製作時や記名 識語(揮毫の場所、状況、動機など)、詩文などを書き付けたもの、またその行為を言う。
その文を款記といい、その時捺す印章を落款印と言う。
慣習上、署名として押捺された印影、または署名に代えて押捺した印影をさすことも多い。
署名用の印そのものを落款と称することもある。Wikipediaより
つまり、落款印とは、落成款識印(らくせいかんしいん)の略で、主に書道や絵画などの書画作品を完成させた際に「自分が書きました」「これが完成です」という意味で作者が押している印です。
手書きの文書に落款を押すだけで、作品を引き締める効果もあり、誰が描いたものなのかを記すこともできます。
一般的な印鑑は本人であることの証明や承認の意味ですが、落款印は書画の「自身の作品」と「完成」としての意味です。
が、落款印が押されていると、さりげなく「正式」というニュアンスを加えることができますね。
3種類の落款(らっかん)
上は私が使っている落款(らっかん)です。
こうしてみるといろんな種類があるように感じますが、押さえておきたい落款の種類は、3つ。
関防印(引首印)と白文印(姓名印)と朱文印(雅号印)です。
この3つを合わせて三顆印(さんかいん)と呼ばれ、一番正式といわれています。
関防印が作品の右上に、白文印が作品の左中央下、朱文印が白文印の下に押します。
それぞれの意味です。
関防印(引首印)
関防印(かんぼういん)とは、書画作品などの右上に押す落款印です。
書き始めの「印」として「飾り」として、作品全体のしまりをよくするために押します。
主に、縦長の長方形や楕円の形が多く用いられます。
朱文・白文のどちらもあります。
自分の好きな言葉や座右の銘、祝い言葉や自戒の言葉など、好きな言葉を刻印します。※このような「言葉」を刻する落款印のことを「成語印」と呼びます
例)
- 閑雅:静かでしとやかなこと
- 従心:心のままにふるまうこと。70歳のこと
- 自在天:気ままで自由な境地。何物にも縛られない自分の心境
- 心如水:心が清らかで淡白な様子
- 行雲流水:空行く雲、流れる水。何のわだかまりもなく、流れに従い素直に行動する様子
- 風花雪月:四季折々の美しい風景
- 勧善懲悪:善良な人や善良な行いを奨励して、悪者や悪い行いを懲こらしめること
詩句・熟語、「座右の銘」や「格言」でも構いません。
ただし、どの季節でも関係なく使用できる言葉がいいですね。
白文印(姓名印)
「氏名印」とも呼ばれ、本名のフルネームか、お名前か、お名前の頭文字とかを彫ったものを白文印(はくぶんいん)と言います。
「この作品の作者○○”自分”○○です」を表します。
白文印は、文字部分が白いので、文字部分を彫ってあります。
書画作品などに押す正式な白文印の場合、姓名(苗字)か氏名(苗字名前)となっており右上から左下にかけて彫られています。
例)
「侑季蒼葉」「侑季」
朱文印(雅号印)
雅号を彫ったものを朱文印(しゅぶんいん)と言います。
朱文印は、文字が朱いので、文字の周りが彫られています。
現代ではなかなか雅号を持っているひとは多くはないと思いますが、画家や書家などが本名とは別につける名前、ペンネームのことをいいます。
書画等を習ったりしますと師匠から付けてもらえるます。
雅号を持っていない場合は、名を彫ったものを押します。
この「関防印(引首印)と白文印(姓名印)と朱文印(雅号印)」の3つの印が「三顆印(さんかいん)」としてセットとなりますが、個人的に趣味で楽しむ場合は、楽しく使いましょう。
落款印のサイズ
ハガキサイズや、A4サイズなど、作品の大きさによって、見栄えの良い落款印のサイズは異なります。
どのようなサイズのものに落款を押すのかによって、使い分けをしましょう。
おおよその目安をご紹介します。
- 短冊 9mm
- 葉書 9~12mm
- 色紙 9~15mm
- 半紙 18~21mm
私は普段、ハガキ用として、10mmと、色紙用に18mmの2サイズを使い分けています。
印泥(いんでい)
落款を押印するとき、印鑑を押印する時に使用する朱肉でもいいのですが、印泥を、ぜひ使用してみてください。
印泥(いんでい)とは、印を押すときにつける印肉や朱肉のことで、中国での呼び名です。
朱砂にモグサなどの植物繊維や木ロウや松脂などを原料として、ひまし油などの油で練り合わせたものです。
少し、手入れの手間はかかりますが、くっきり鮮やかに落款を押すことができます。
印泥の保存方法
印泥は冬は固く、夏は軟らかくなりやすく、湿度や乾燥に弱い、非常にデリケートな性質を持っている。
このため、湿気や乾燥の気になる場所には置かないよう、保存には注意を払う必要がある。
また、放っておくと「アブラ」と「水銀朱」が分離、時には「アブラ」が底に沈み、時には表面に浮かんでくる。
朱と油が分離し、時にはアブラが上部に浮上してしまい、その状態で印を押すと、紙の裏面に油が染み出てしまうこともあるため、ヘラでよくかき混ぜてから使用する。
多くの場合「アブラ」は底に沈むことが多く、印泥上部と底部を入れ替えることで「印泥練り混ぜの代行」になることもある。
いつまでも色沢を損ねないように、使った後は必ず木箱に戻し、塵、埃の侵入を防がねばならない。Wikipediaより
日本で、印泥を売ってるところも少ないですが、書道用品店や大型文具店、またはネットなどで購入できます。
Amazonでも購入できます。
私が、使用している印泥はこちらです。
皇居勤労奉仕に参加した際に宮内庁売店にて購入しました。
大事な場面では、必ず使用しています。
もちろん、「直線で書けば今すぐ字がうまくなる」(サンマーク出版)書籍へのサインの時も^^
参考図書「直線で書けば今すぐ字が上手くなる」(サンマーク出版)著者:一般社団法人代表理事 侑季蒼葉
使用している筆ペン「ぺんてる 筆ぺん ぺんてる筆 XFL2B 太字 黒」
落款(らっかん)を手軽に楽しもう
こういった文化や知識を知った上で、ライフスタイルに合わせて取り入れることができるって、素敵だなと思います。
手書きに、「自分の名前」を彫った落款が、ひとつあるだけで、気持ちはプロ^^
朱文にするか、白文にするかは、形式に囚われず自分の気分で選んでもいいのではないでしょうか^^
想いを伝えたい相手がいて。
伝えたい思いがあって。
「私」の「想い」「相手に届け」という印(しるし)を、文章の最後に、ポン押す^^
そんな落款が欲しくなった方。
侑季蒼葉があなただけのサインアート落款(らっかん)制作します。
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